『エヴァ』を語る上では欠かせないのがエヴァンゲリオン各種で、主人公のシンジが操作する初号機に並んで、見せ場が多いタイプが弐号機です。
惣流・アスカ・ラングレーが操縦するもので、赤いカラーが特徴です。モノアイの零号機、人間や獣の顔の中間といった初号機と比べて、目の数が多く、複眼を持つ昆虫的なデザインが特徴です。
テレビシリーズでの活躍
初登場はテレビシリーズの第六話で、水上を移動する使徒・ガギエルとの戦闘で活躍してから、コンスタントに登場するようになります。
能力は他のエヴァンゲリオンと同じで、特殊装甲が12000枚搭載されており、簡単な攻撃はATフィールドもあって全く通用しません。
アンビリカルケーブルによる電力供給が主なエネルギー源で、ここも他の機体と変わらない性能です。
リリスのコピーであった初号機に対して、こちらは原初の使徒・アダムからのコピーになっており、ある意味ではオリジナルとされている出自を持っています。
搭載武器
武装は初号機と比べて多く搭載されており、劇場版でも肩部分から出るニードルガンが強力な効果を発揮していました。
銃火器の仕様も非常に多いことから、その方面の演出が好きな人は、弐号機が闘うエピソードを重点的に観てみると良いかもしれません。
初号機のプログレッシヴナイフにあたる武器は槍のような形状のもので、強力な一撃を誇ります。
投擲して使うなど、飛び道具的な扱いもするので、武器の使用に長けているアスカの腕前と並んで、ダイナミックな戦闘を拾うしてくれています。
初号機との連携
初号機及びシンジとのコンビの活躍も目覚ましく、様々な作戦を克服していきました。
分裂するために同時に倒す必要がある使徒・イスラフェルでは、息の合ったコンビネーションを見せたり、火山港に潜むサンダルフォンを捕獲する上ではマグマ用の耐熱スーツを装備して進むなど、その活躍の種類は大きなものです。
集団で攻撃を受け止める必要があった使徒など、統率をとっての行動が要求されるシーンでもしっかり活躍し、テレビシリーズ中盤までは他のエヴァンゲリオンと息の合うコンビネーションを見せては、人気機体として知名度を上げていったと言えます。
新劇場版での活躍
大きな違いが目立つ新劇場版では真希波・マリ・イラストリアスも操縦することがあり、呼称も漢数字で表記されていたものから「2号機」になっています。
テレビシリーズの弐号機はエヴァンゲリオンの量産を前提に設計されていたモデルで、アダムより制作された中でも最新のデザインがなされているという設定です。
テレビシリーズ後半
アスカのプライドが傷つけられたことにより、著しいシンクロ率の低下を迎え、劇場版までは活躍する機会が失われてしまいます。
その原因は強力な使徒にことごとく敗走しているからで、ゼルエルの強力な一撃やアルミサエル戦においてはまともに参加できないなど、エヴァのコンディションよりはアスカ自身のメンタルが大きく作用していました。
初号機と違って、暴走などが描かれなかった弐号機は徹頭徹尾兵器のような冷たい、非生物的な印象を持ち、零号機共々初号機と異なるタイプの機体と言えます。
戦略自衛隊との戦闘時ではATフィールドを投げるなどの荒業を見せ、これらの武装はゲームなどにも輸入されることでより有名になっていきます。
新劇場版
再起動した量産機たちの総攻撃に遭い、捕食されてしまいますが、人類補完計画が発動した時点ではアスカ自体は無事のまま、物語は終わりを迎えます。
漫画版でも同様に量産機との死闘を繰り広げますが、圧倒的な戦闘力を持った量産機の前に倒れてしまうところはテレビシリーズと同様です。
初号機は人類補完計画の礎となり、そのまま媒介になったことで量産機ともども変形して原型を失い、零号機も使徒との交戦で大破、3号機も先の戦闘で破壊されるなど、多くの犠牲が出ているエヴァンゲリオン。
その中でも、途中で機体そのものが消失しなかった稀有な機体と言えます。捕食され、原形をとどめない寸前まで傷つけられたとしても、途中で退場しなかったのは
アスカ共々重要な存在であることがうかがえます。新劇場版では多数のエヴァンゲリオンが出るため、一体ごとの扱いが分散しており、見せ場こそありますが、このようなショッキングな場面は少なくなっていると言えます。
弐号機はエヴァンゲリオンの中では最もアクションパートが多い機体と言えるもので、特撮などの影響が強いカット割りなどが目立つ『エヴァ』では、視覚的に魅了してくれる存在と言えます。
2号機に宿る魂とアスカの子供時代とは
弐号機はアスカの母親の魂が込められている機体で、操作するチルドレンはその子供でなければ対応しないというのが設定として存在します。
劇場版でピンチに陥ったアスカですが、母親と精神的に融合することにより、復活しては戦略自衛隊や量産機らを撃退する活躍を見せています。
母親との関係
母親は惣流・キョウコ・ツェッペリンで、研究機関ゲヒルンの一員でした。アスカの母であること以外は詳細があまり描かれていなく、ドイツと日本の間で生まれた家系のために、ハーフの名前になっています。
アスカの幼少期はあまり描かれず、母親と幼い頃に死別したことがショックとなり、その反動として勝ち気で活発な性格を作り出していると言えます。
劇場版で母親の幻影と融合するくだりでは、わずかに登場しますが、全体的に謎が貫かれているのは、シンジの母親の碇ユイ以上でしょう。
漫画版でもシナリオで保管されることのなかったアスカの母親に対して、碇ユイと真希波は単行本最終巻の巻末収録のエピソードで、そのディテールとエピソードが描かれます。
母親の登場は少ない
シナリオ上では自殺してしまったという設定ゆえに、後付けで足すことが難しかったためにあまり触れられなかった人物だったのだとされています。
母親の早い死はアスカの心に影を落としており、これがアスカを不安にさせると同時に、劇場版への快進撃へと繋がっていきます。
チルドレンの母親はエヴァンゲリオンとの関係ゆえに注目されがちですが、父親に対してはあまり取り沙汰されません。アスカも同様で、家系そのものにはあまり言及がされない、謎の多いキャラクターだとされています。
パワーアップし、2号機改としても活躍
新劇場版の『Q』では、使徒との戦いで失ったパーツなどを補修し、改2号機として登場しました。全身に強化及び補修が施されたことから、外見は大きく変わり、ヴィレの主力エヴァとして活躍します。
バッテリーと呼びのそれを持つことで長い間戦闘することが出来るため、従来のエヴァンゲリオンよりも利便性に長けています。宇宙行動に特化した改2号機βとしても登場しており、背後に巨大なブースターを付けることで宇宙空間での移動がスムーズになっています。
宇宙での戦闘は新劇場版で初めて披露されたもので、新たなエヴァンゲリオンのアクションを決定づけるものとして話題となりました。
このように2号機は地形別に多彩なバリエーションを持っており、これまた今までのシリーズではあまり舞台にならなかった水中では改2号機として機敏に移動することが出来ます。
空中挺進専用S型装備といった特殊な装備は、アスカが空軍のエースという設定も相まって、新たな特徴に数えられるでしょう。戦闘パートが多いのは新劇場版でも健在で、第13号機といった敵との戦闘は見せ場として印象深いものです。
精巧に造られているエヴァの武装
エヴァの武装はディティールが凝っており、設定資料集などでも多く確認できるものですが、本編で登場したものはほんのわずかなのが現状です。
特に武器が多い2号機は見せ場も多く、新劇場版では諸刃の薙刀状の武器など、目につくものが多いですが、他にも多数の武器が設定されていました。
ニードルガンなども他のエヴァにはない武装で、インパクトのあるものだっただけに、新劇場版での多彩なバリエーションは2号機の個性とも言える扱いになっています。
これはテレビシリーズのマグマダイバー用の装備からも繋がるもので、可変式で多くのアタッチメントが存在するというロボットならではの特徴を大きく活かしたデザインになっています。
初号機は物語上でも特別な位置にあるユニットなので、あまりリアルなディティールが用いられておらず、武装面や稼働面でのリアリティ、ギミックとしての凝り具合は2号機の方が上といっても良いでしょう。
アスカが「本物のエヴァンゲリオン」と豪語する理由はここにあるのかもしれません。
ロボットとして最も精巧なデザインがされているエヴァンゲリオンは、間違いない2号機で、新劇場版でのビーストモードなども可変する部分や、変形という要素では最も力が込められて設計されているのがわかります。
暴走した2号機のビーストモードとは
暴走と言えばエヴァ初号機の特徴にして、シリーズにも関わってくる要素ですが、新劇場版では似たような要素が2号機にも追加されています。
第10使徒が襲来した時、真希波がアスカに代わって2号機に搭乗した際は売らコードを入力することにより、獣化と呼ばれるモードに突入し強力な攻撃を見せました。
2号機の特徴
その見た目は暴走した初号機や量産機に近い、人型から離れたフォルムになるもので、動物的なデザインがインパクト大です。あまりに強い第10使徒には撃退までには行きませんでしたが、なんとかシンジを救出するなど、大きな活躍を見せます。
後に補修された状態でもこのモードは健在で、コード777を入れることによる獣化第4形態へのチェンジも可能になっています。
尻尾や牙のようなパーツが出てくるので獣化にふさわしいモデルとなっています。最終的には自爆して敵を倒すため、活躍の機会自体は少ないものでしたが、その活躍は多くのファンの記憶に残りました。
獣化自体は新劇場版の登場からすぐに判明したもので、パイロットに相当の負担を与える禁断のコマンドとして記憶されています。
ダミープラグによる暴走は初号機ばかりフィーチャーされていたものでしたが、新劇場版ではどの機体にも注目が集まるようになっているため、2号機は結果的に大幅なスペックの変化などが確認できます。
アクションが多彩なビーストモード
ビーストモードと言えば、初号機の暴走が見せる獣のような行動と、捕食に始まるアクションが有名ですが、2号機のそれはあくまでモードとしてのそれで怪物のような挙動は確認できません。
それだけ初号機の暴走のインパクトはテレビシリーズで決定づけられているとも言えます。
他のエヴァンゲリオンでもそれは踏襲されておらず、例外としてエヴァ量産機が暴走した初号機に近い行動を見せている以外は、これ以上掘る必要のないデザインだと判断されていることがわかります。なお、新劇場版の2号機はとにかく破損が激しい機体で、多くの補修を受けては復活しています。
その跡は非常に痛々しく、ツギハギのような接合が目立ちます。異色のデザインとなった機体で、テレビシリーズのものと比べると、その変遷に驚く機体の一つでしょう。
戦闘が激しい弐号機は最終的には爆発四散し、エヴァンゲリオンの中でも珍しい、戦いの中で沈んでいった歴戦の機体として記憶されています。
意外と知らない2号機パイロットとは
戦闘不能中はネルフ本部に格納されていましたが、渚カヲルことタブリスによって起動させられ、セントラルドグマへと進行していくなど、敵に回ることもありました。
この時はカヲルが空中に浮きながら外から操作するという異例のケースになっており、無人で意のままに操られる弐号機はそれまでにない存在感を放って、初号機の前に立ちはだかります。
カヲルと対峙した時は心を閉ざしていた状態にある弐号機ですが、それ以外弐も同じ使徒であり、源流が同じエヴァンゲリオン及び人類と共通するからこそ操れたということになります。
漫画版
カヲルは弐号機に登場するシーンもあり、アルミサエルとの戦いに参加しています。アスカが精神的にダウンしていた頃の代役として抜擢されたもので、自在にシンクロ率を上げては凄まじい活躍を見せました。
アスカとカヲルの接点は弐号機を巡る点のみなので、二人を繋いだものとしても弐号機はシナリオで重要な扱いになっていきます。