ジオフロントという言葉は、本来は地下にある空間のことをさしています。
更に一般的には、地下に作られた都市や都市計画のことをさして、ジオフロントと言います。直訳すると、地下の開拓線、という意味の英語です。
本来のジオフロントは、建造物が過密となってしまった都市において、地下空間を利用することで問題を解消しようとして計画されます。
現実の日本では、地上の地下が異常に高騰してしまったバブル時代に計画されてことがありますが、現在に至るまでこのような巨大な地下都市は実現されていません。
劇中でのジオフロント
エヴァンゲリオン作中に登場するジオフロントとは、第3新東京都市の地下に存在している、全長6km、高さ0.9kmの巨大空間に建設された巨大な地下都市のことです。
そのジオフロントにある地下都市の中心にはNERV本部が存在しており、更に周辺には地底湖や森林といった自然環境も配置されています。
また、地下空間の天井からは高層ビルが真下に向かって伸びているという構造になっています。これらは、天井都市と呼ばれています。
使徒が襲来した際には、第3新東京都市の地上にあるビルの殆ど全てがジオフロント内部に格納され、地下から見た時には天井からビルが垂れ下がっているように見える構造になっているのです。
ほとんどの空間は埋没している
このジオフロントは、本来は巨大な球状の空間だったのですが、その内部空間の内実に89%が土砂により埋まっているため、現在の半球状の空間となっています。
この空間自体は、人類が採掘をしたわけではありません。箱根の地下に巨大な空洞が存在していることを発見した人類が、その空洞の中に都市を建設しました。
地図上の位置と本来の目的
仙石原の地下にジオフロントは存在しているとされています。その範囲は、箱根山外輪山から御殿場市に達するほどの広範囲に渡っています。
ジオフロントの中心に建設されたNERV本部を目掛けて使徒が襲来してくることは、あらかじめ予想されていたため、その攻撃に対処するためジオフロントの地上には使徒を迎撃するための都市として第3新東京都市が建設されています。
第3新東京都市が日本の次の首都であるというのは、NERVが予算調達をするための建前であり、実際には軍事施設として建設されているのです。
そのため、ジオフロントからその上部にある第3新東京都市の間には、エヴァの射出口などが用意されている他、エヴァの武装を格納している兵装ビルなども完備されています。
ジオフロントに存在している地下都市や居住区自体も、行政区分としては第3新東京市に属しているとされています。ただし、そもそも第3新東京市の十人は、NERVや国連軍の関係者とその家族であるようです。
ジオフロントのインフラ
地上からジオフロントの中に入るためには、モノレールやインクライン、カートレイン、ケーブルカーなどを使用することになっています。
螺旋状にリニアレールが建設されていて、そのレールを使用することで交通を可能にしています。
ジオフロントの交通手段としては、第3新東京市地下中央線、ジオフロントケーブルカー、第3新東京市ジオフロント線、ジオフロント外周ドリル南線、ジオフロント外周ドリル北線、といったものの存在が確認されています。
ジオフロント上部に存在する第3新東京都市には、芦ノ湖周辺に集光ビルと呼ばれている巨大な反射鏡が設置されており、この仕組によって、地下に存在するジオフロント内部にも光が届くという構造になっています。
ちなみに、加持リョウジは、ジオフロント内部に届くこの光を活用して、ジオフロントの中でスイカを育てています。
NERV本部とセントラルドグマ
22層にも及ぶ特殊装甲によって保護されていると言われています。
ジオフロントの地下の中心部にはセントラルドグマが存在しており、更にその最深部にはターミナルドグマが存在しているとされています。
セントラルドグマの中には、ターミナルドグマの他にも、エヴァ素体廃棄所、ダミープラグ開発所、射撃訓練所、マギシステム、などの各種実験施設や研究施設が存在しています。
本来、セントラルドグマという言葉は生物学用語であり、そこからとって名付けられているようです。
作中、ゼーレがけしかけた戦略自衛隊の攻撃により、ジオフロントの天井部分は破壊されて、地下都市であったジオフロントは、剥き出しの状態となっています。
使徒の侵入
作中では、何度か使徒に対して、ジオフロント内部への侵入を許してしまっています。
第11の使徒イロウルは微生物状の使徒で、ナノマシンの集合体である特徴から、セントラルドグマ内部のマギシステムにハッキングを仕掛けることで、NERV全体を自爆させようとしました。
また、より本格的な使徒のジオフロント内部への侵入が行われ、内部でエヴァと使徒の戦闘が行われたケースがありました。
第14使徒ゼルエルとの戦闘がこれにあたり、最終的には初号機の暴走によりゼルエルは捕食されてしまうこととなりますが、ジオフロントの被害は甚大なものでした。
エヴァ弐号機が大破しただけではなく、NERV本部の施設も半壊するなど、この戦闘でジオフロントは大きく破壊されています。
ジオフロントの都市機能
病院などの施設も存在していることが確認されています。
NERV本部付属の中央病院がそれで、パイロット専用とされる緊急処置室や入院施設などは、作中で何度も登場しています。
ジオフロントの中には、都市機能や軍事施設、研究施設だけでなく、巨大な地底湖が広範囲に渡って広がっており、印象的な光景を形作っています。
この地底湖は作中で何度も登場し、とくに劇場版では、弐号機が地底湖に沈むといった印象的な形で登場しています。
ジオフロントの正体は?
ターミナルドグマは、作中の序盤ではアダムが隔離されていると言われていた空間でした。
アダムとの接触をはかるために使徒が襲来し、その接触が起きるとサードインパクトが発生してしまうため、それを防ぐために、ターミナルドグマには最終手段として自爆装置がセッティングされていました。
しかし、実際にターミナルドグマに存在していたのは、アダムではなくてリリスであることが最終的には明らかにされています。
また、ターミナルドグマではこのリリスから流れ出す体液として、LCLが生産されているようです。そのため、LCLプラントと作中で呼ばれることもありました。
現在ジオフロントとして活用されている巨大な地下空洞は、元々はリリスの卵である黒き月の球体の一部であったとされています。
数十億年前、ファーストインパクトの際に、地球に飛来し激突した隕石の中に入っていたのが黒き月であるとされ、その落下地点は現在第3新東京市が建設されている箱根でした。
その後、地下に埋まっていた黒き月の空間こそが、現在ジオフロントとして活用されている空間の元になりました。本来の黒き月の直径は13.75kmであるとされています。
ジオフロントの空間は黒き月であると同時に、リリスに由来する生命の魂が生まれる場所であるガフの部屋でもあるとされています。
南極にもジオフロントが存在している?
アダムの発見された南極には白き月が存在していて、同様の巨大な地下空間が存在しています。
こちらもまた、同じようにジオフロントと呼ばれています。また、南極のジオフロントも、アダム系の生命のガフの部屋であるとされています。
しかし、こちらの南極のジオフロントは、セカンドインパクトの際に消失しています。