黒ひげ海賊団は、ワンピースに登場する海賊団の一つです。
黒ひげの異名を持つマーシャル・D・ティーチを提督とする海賊団です。黒ひげ海賊団は、元海軍大将クザンと裏で協力関係にあると言われています。
黒ひげ海賊団がかつて使用していた海賊船は、巨大な丸太を使用した丸太船です。そのため、オールを漕いで移動していたようです。海賊旗には3個のドクロに4本の骨がクロスした形が描かれています。
黒ひげ海賊団は結成後すぐに、5人のメンバーだけでチョッパーの故郷であるドラム王国を滅ぼしています。
黒ひげ
提督の黒ひげは、40歳で、誕生日は8月3日です。身長は3m44mもあるとされています。黒ひげの見た目の特徴としては、すきっ歯と黒いあごひげが挙げられます。
また、かなりの肥満体型で、腹が出ている様子が描写されています。黒ひげは、作中最強クラスの実力を持ったキャラクターとして知られています。
黒ひげは元は白ひげ海賊団の2番隊隊員として活躍していました。現在は、四皇の一人であるとされています。
また、かつては王家七武海にいたキャラクターでもあります。海賊王になるという野望を抱いている人物でもあります。「ゼハハハ」という特徴的な笑い声を頻繁に台詞の間に挟むことでも知られています。
黒ひげは、悪魔の実の能力者になる以前から身体能力が高く、その当時から赤髪のシャンクスの左目に3本傷を負わせたりしていました。
黒ひげはジャヤ島のモックタウンで初めてルフィと出会っています。そのときは、ルフィを励ますなど、友好的な態度を見せていました。しかし、後にルフィの賞金額の大きさを知ったことで、黒ひげはルフィの命を狙うようになります。
黒ひげの悪魔の実の能力
黒ひげは自然系のヤミヤミの実と超人系のグラグラの実の二つの実の能力者です。
ヤミヤミの実
闇を操作する能力です。かつて黒ひげが白ひげ海賊団に所属していた頃、白ひげ海賊団4番隊隊長であったサッチが先にヤミヤミの実を入手したのですが、黒ひげはサッチを殺害することでヤミヤミの実を手に入れています。
このヤミヤミの実は、強力な闇の引力で何もかもを引き込むことが出来ます。他にも、取り込んだ物体を自分の中に溜め込んで、放出するといった能力があります。
この闇の力で、悪魔の力を吸い込むことも出来るようで、能力者の能力を封じ込めることも出来ます。重力の力で物体を押しつぶしたり、闇の力で精神を崩壊させることが出来るようです。
ブラック・ホール(闇穴道)という技では、闇の中にあらゆるものを引きこみ、その闇の中で町一つを引き込むといったことも可能だとされています。
また、闇水(くろうず)という技では、闇の強力な引力で相手の実態を引き込むことが出来るようです。
ただ、このヤミヤミの実は、逆に相手から攻撃されたときに弱い、といった欠点もあるようです。
グラグラの実
元々は白ひげことエドワード・ニューゲートが所持していた悪魔の実の能力です。
地震人間となって、自由自在に地震を操ることが出来ます。また、地震だけでなく、津波などの二次災害を発生させることも出来るようです。
作中では最強クラスの攻撃力を誇り、世界を破壊する力とまで形容されていました。しかし、黒ひげは白ひげを殺害した後、何らかの方法でグラグラの実の能力を手にしています。
黒ひげ海賊団のメンバー
船長の黒ひげを筆頭に少数精鋭の集団とされていますが、そのメンバーは、作中では10人が登場しています。
航海士のラフィット
鬼保安官の異名を持ち、かつては西の海で保安官をしていましたが、行き過ぎた暴力を振るうため国を追放されることになりました。
10人の巨漢船長の1人とされていて、黒ひげ海賊団では5番船の船長を担当しています。シルクハットとステッキがトレードマークです。
「ブチ殺しますよ」という台詞をよく使うことで知られています。しかし、普段は丁寧な紗練家たをするキャラクターです。
フラフィットは催眠術を得意としており、工作活動などで活躍しています。また、作中では背中に翼が生えている描写が見られるため、何らかの悪魔の実の能力者ではないかと言われています。
ドクQ
死神の異名を持つ船医です。細身の中年男で、少し病弱なところがあります。
長髪と髭がトレードマークです。移動する際には、ストロンガーという馬に乗ることが多いです。武器はT字型の大鎌を使って戦います。
ヴァン・オーガー
狙撃手で音越の異名を持っています。その狙撃能力は一流で、スコープですら視認出来ないような対象も性格に狙撃することが出来ます。
また、早撃ちの能力も高いと言われています。使用している銃身の極端に長い銃は千陸と名付けられています。
ジーザス・バージェス
チャンピオンの異名を持つ彼は、黒ひげ海賊団で操舵手を担当している男です。
笑い声は「ウィーハハハ」というものです。大きな覆面をしていて、1番船の船長を務めています。
外見はいかにもパワー系で、波動エルボーという技を持っています。かなりの怪力の持ち主だとされていて、2階建ての家を持ち上げて放り投げるなどしています。
しかし、革命軍の参謀総長であるサボとの戦闘では敗北しています。武装色の覇気の持ち主だとされています。
その他、ガレオンラリアットという、ラリアットにより衝撃波を巻き起こす技を持っています。好戦的で凶暴な性格をしています。
シリュウ
雨のシリュウと呼ばれている剣士のシリュウは、黒ひげ海賊団に入る前は、世界政府が凶悪犯を収監するために設置している海底の監獄インペルダウンにおいて、看守長をつとめていました。
しかし、遊び半分に囚人を次々と殺していたため、失脚し、シリュウ自身がインペルダウンに収監されてしまうことになりました。
その後、黒ひげ海賊団がインペルダウンを襲撃した際に、黒ひげ海賊団に加入することになります。
その後シリュウは白ひげを殺害した一人となるなど活躍し、現在は、黒ひげ海賊団の2番船船長をつとめています。
他にも、黒ひげ海賊団はインペルダウンの囚人を何人か仲間に加えています。
サンファン・ウルフ
彼もまたインペルダウンから脱獄した囚人です。異常な巨体の持ち主で、巨大戦艦の異名を持っています。
バスコ・ショット
元々はインペルダウンの囚人で、大酒のバスコ・ショットと呼ばれていました。常に酒に酔っているキャラクターとされています。
アバロ・ピサロ
同じく、インペルダウンから脱獄して黒ひげ海賊団に加入したアバロ・ピサロというキャラクターがいます。
悪政王とも呼ばれていて、頭に角があり、大きな髭を蓄えていることが特徴的なキャラクターです。
武器としては、両腕に装備したガトリングガンを戦闘に使用しているようです。
カタリーナ・デボン
若月狩りの異名を持ち、同様にインペルダウンから脱獄して黒ひげ海賊団に加入しています。黒ひげ海賊団でただ一人の女性であるとされています。
現在黒ひげ海賊団は、悪魔の実の能力者を殺害し、能力を奪取することを目的とした能力者狩りを行っているようです。
黒ひげ海賊団の名シーン(名セリフ)
「私はある男を七武海に推薦したくここへ来たのです」
聖地マリージョアで行われていた会議に乱入した黒ひげ海賊団のラフィットが、黒ひげを王家七武海に推薦しようとして言った台詞です。
普段はラフィットは冷静でクールなキャラですが、大胆不敵な一面を見せた印象的な台詞です。
「人の夢は!! ……終わらねぇ!!!!」
一見悪役に見える黒ひげが、ルフィの夢を認めて、ルフィを励まそうと叫んだ台詞です。
海賊が夢を見る時代は決して終わらない、という発言を通して、夢を持つことの大切さを説いている黒ひげの力強い台詞です。作中でも屈指の名台詞だとされています。
「笑われていこうじゃねぇか! 高みを目指せば出す拳の見つからねぇケンカもあるもんだ」
先ほどの台詞に続く、黒ひげの名台詞です。
くだらない他人の目なんか気にすることなく、自分の理想を信じて努力していくことが大切だと黒ひげは説いています。
「小物にゃァ用はねェ……!! 探してたのは一億を越える首だ!! さァ成り上がってやるぜここから!」
ルフィの賞金額を確認し、1億を超えていたことを知った黒ひげの台詞です。
ちまちました小さな仕事ではなく、大きなことだけを成し遂げてやろうとする黒ひげの人生哲学をうかがうことが出来る名台詞です。
「死ぬも生きるも天任せよ。恐れた奴が負けなのさ!!次の一瞬を生きようじゃねェか!!」
黒ひげの死生観がよく表現されている台詞です。リスクを犯すことを恐れず、命がけで一瞬一瞬生きることの大切さを説いています。
作中ではさらっと表現されている台詞ですが、多くの人の心に残っている名台詞です。
「やめときな正義だ悪だと口にするのは!!……この世のどこを探しても答えはねェだろくだらねェ!!」
黒ひげがインペルダウンにて発した台詞です。
正義や悪といった概念が、絶対的なものではなく、語る人間の立場によって変わってしまう相対的なものだ、というメッセージが込められた台詞です。同時に、黒ひげが自身の立場を説明している台詞と読み取ることも出来ます。
作中ではルフィたちにとって敵キャラのように描かれている黒ひげ海賊団ですが、黒ひげたちにとってはそれもまた一つの正義なのかもしれません。そんなことを考えさせる、名台詞です。
「よォく世界に伝えときな……平和を愛する、つまらねェ庶民共!! 海兵!! 世界政府!! そして……海賊達よ!!」
「この世界の未来は決まった……そう……ここから先は!! 俺の時代だァ!!!!」
白ひげの所有していたグラグラの実の能力を奪い取った黒ひげが言い放った台詞です。
作中最強クラスの威力を持つヤミヤミの実とグラグラの実の二つともを手に入れ、勝ち誇ったように黒ひげが叫んだ台詞です。彼が圧倒的な力を手に入れたことを象徴する、印象的な名台詞です。
黒ひげ海賊団に関するネタバレ
黒ひげ海賊団は、マリンフォード頂上作戦において重要な役割を果たしています。そもそも、この戦争の発端となったのが、黒ひげとエースの戦闘です。
黒ひげが海賊団4番隊隊長であったサッチを殺してヤミヤミの実を奪い逃走した事件が発生した当時、黒ひげは白ひげ海賊団の2番隊に所属する隊員でした。
当時その2番隊の隊長であったエースは、その事件後、黒ひげを追い続けていました。
そして、黒ひげはバナロ島でエースとの邂逅を果たしますが、戦闘で黒ひげは勝利しエースを倒しています。
その後、王家七武海に加入することを望んでいた黒ひげは、エースを海軍に差し出しました。
マリンフォード頂上決戦時
しかし、世界政府がエースの公開処刑を決断すると、戦争開戦直前のどさくさにまぎれてインペルダウンへ忍び込みます。
この際、黒ひげはルフィと再会し、エースのことで激しく怒っていたルフィと戦闘に突入しそうになりますが、ここではジンベエが間に入ることで事なきを得ています。
黒ひげは一旦は、インペルダウンで当時署長であったマゼランのドクドクの実の能力による毒攻撃にやられて瀕死となりますが、黒ひげ海賊団のシリュウが所持していた解毒剤の効果によってなんとか助かります。
その後、インペリダウンの中でもとくに凶悪な囚人が投獄されているLEVEL6に到着し、その囚人たちに殺し合いをさせます。
そのとき、最期に生き残った囚人4人は黒ひげ海賊団に加入しています。
七武海の脱退
その後、黒ひげはマリンフォードで七武海の脱退を宣言します。白ひげと戦闘を行った黒ひげですが、一人では勝つことが出来ませんでした。
最終的には、配下の人間も加えて、黒ひげ海賊団は白ひげに対して総攻撃を行い、既に手負いであった白ひげを殺害することに成功します。
その後、何らかの手段を用いて白ひげのグラグラの実の能力を奪い、黒ひげはそれを自分のものとしています。
センゴクやガープとも戦おうとした黒ひげですが、登場した赤髪のシャンクスに牽制される形で、その場を立ち去っています。
マリンフォード頂上作戦の終結後、黒ひげは死亡した白ひげになりかわって、四皇の一人として認められるようになり、黒ひげ海賊団は新世界へと進出しています。
新世界に登場
新世界では、黒ひげは超新星と周囲から呼ばれるほどの海賊であったジュエリー・ボニーを捕らえるなどしています。
そのときは、海軍に対して、軍艦とボニーの交換を提案しましたが、赤犬が登場したため、その場から退散しています。
黒ひげ海賊団のうんちく
作者の尾田栄一郎さんは、黒ひげ海賊団について、作中に登場する海賊団の中でもとくに海賊らしい海賊を描こうとしたと語っており、全員が荒々しく豪快なキャラクターとなるようにデザインしたとのことです。
黒ひげの誕生日は8月3日ですが、これは黒ひげがヤミヤミの実の能力者であることになぞられて、「やみ」という語呂合わせて設定されていると言われています。
黒ひげのモデル
実在の海賊である黒髭ことエドワード・ティーチだと言われています。この実在の海賊と作中の黒ひげとは、異名だけでなく名前も似ています。
この実在の黒髭は、実際にたくさの黒い髭を顔にたくわえていたことから、その名前で呼ばれることになったようです。
カリブ海や大西洋を荒らしまわり、有名な海賊として知られていました。海賊が登場する作品のキャラのモデルに頻繁になるなどしています。
例えば、ディズニーランドのアトラクションである「カリブの海賊」などにもこの黒髭をモデルとしたキャラクターが登場しているようです。
この実在の黒髭は、最終的にはイギリス軍艦との激しい戦闘の末に殺害されています。
黒ひげ海賊団は仲間になる?
黒ひげはルフィの義兄であるエースを殺害しているなど、一見すると、どうにも仲間になりそうにないキャラのように描かれています。
しかし、ファンの間では、黒ひげがルフィたちの仲間になるのではないかという説がささやかれています。
現在、ルフィの仲間は総勢で8人います。しかし、以前ルフィは作中で「仲間は10人はほしいなァ!!」とつぶやいていました。
残る2人が誰かということで、様々な憶測を呼んでいます。作者の尾田栄一郎さんは、10人目の仲間について、「過去に戦ったボス級の敵」と発言しています。
そして、ルフィの仲間となる悪魔の実の能力者は、ハナハナの実(8787)、ヨミヨミの実(4343)といったように、数字の語呂合わせに由来する名前がつけられた悪魔の実を持っているとされています。
そのため、ヤミヤミの実(8383)の能力者である黒ひげが仲間になるのではないかといった説や、あるいは、闇という要素は無を表現する数字の0を暗喩しているため、仲間になるのではないか、といった説もあります。
しかし、物語の展開上、黒ひげ海賊団こそがルフィたちにとって最終的な敵となるのではないか、という見方のほうがあくまで有力のようです。